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Author:バニーマン
映画ネタ、音楽ネタを中心に思いつくまま適当に書いていきます。 自分が忘れないための 日記のようなものです(^_^;)。 Instagram @kou_oku リンクフリーです。
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コーヒーをめぐる冒険(2012)
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【2015/03/30 21:30】 映画こ
☆コーヒーをめぐる冒険(2012) OH BOY

上映時間 : 85分 製作国 : ドイツ
監督:ヤン・オーレ・ゲルスター 脚本:ヤン・オーレ・ゲルスター 撮影:フィリップ・キルザマー
出演: トム・シリング / ニコ・フィッシャー マルク・ホーゼマン / 友人マッツェ フリーデリッケ・ケンプター / 同級生ユリカ カタリーナ・シュットラー / 恋人エリ ユストゥス・フォン・ドナーニー / 上階の住人カール アンドレアス・シュレーダース / 神経質な心理学者 アルント・クラヴィッター / クサい芝居の俳優 マルティン・ブラムバッハ / 無賃乗車検札官 RP・カール / 検札官R2D2 シュテファン・C・ユルゲンス / 前衛劇団演出家 フレデリック・ラウ / 不良青年リーダー ウルリッヒ・ヌーテン / ニコの父 ミヒャエル・グヴィスデク / 老人フリードリヒ
父親に内緒で2年前に大学を辞めて以来、 ベルリンでのんきな毎日を送る青年ニコ。 恋人の家で目覚めたその朝、不注意にも彼女を怒らせてしまい、 荷物と一緒に追い出されてしまう。 飲酒運転で取り上げられた免許証を返還してもらいに行った先でも ドジを踏んで返してもらえず、 コーヒーショップでも店員との不毛なやりとりの末、 結局所持金が足りずに飲めず仕舞い。 ことごとくツキに見放された今日のニコ。 しかもこれは、ニコの最高にツイてない一日のほんの序の口に過ぎなかった。

この作品と監督について、まるで知らないので、ちょっと調べました。
監督は1978年生まれのドイツ人。 Xフィルム・クリエイティブ・プール社で仕事をしていた時、 映画「グッバイ!レーニン」の準備、撮影、編集、ポストプロダクション等に係る。 2003年からドイツ映画テレビ・アカデミー(DFFB)で学び、 その卒業作品にして初監督作となる「コーヒーをめぐる冒険」を発表。 本国ドイツで大ヒットし、ドイツ・アカデミー賞で作品・監督・主演を含む6部門を受賞した。
日本語の題名は村上春樹の小説にあやかっているのか? 作品自体は主人公がコーヒーを飲もうとしてもなかなか飲めないというコメディですけど、 コーヒーをめぐる冒険(映画)というわけでは無い。 でもなかなか好い題名だと思います。
監督もこの日本語題名を気に入っているようで、インタビューで、「とても良いタイトルだと 思います。実は今、アメリカの配給会社もタイトルを探しているところなので、日本題をオススメ しているところなんですよ!『ニコ・フィッシャーのコーヒーをめぐる冒険』なんてタイトルに なったら、『インディ・ジョーンズ』シリーズみたいで素敵ですよね。」と答えています。
さて、まるで知らないこの作品を観ることになったのは、ブログ仲間のつかりこさんが この作品を紹介していたからなんです。
つかりこさんのブログはこちら↓ 「幸せなドイツの無気力と再生 ~ 『コーヒーをめぐる冒険』」
つかりこさんのブログを読んで、この作品の本当のテーマがわかりました。 この映画を観た方には是非つかりこさんのブログを読まれることをお勧めします。 おー! そうだったのかとつい膝を打ちたくなります。
残念ながら一般的な日本人である僕にとっては、そこまでの知識が足りないので、 一般的な(表面的な)感想を書きたいと思います・・・(^_^;)。
モノクロの画面から、ジム・ジャームッシュの「ストレンジャー・ザン・パラダイス」と 比較されているようですが、かなり違います。 良い悪いということではなく、今作は“ストレンジャー”みたいに画面粒子が粗い作品ではないし、 ストーリーもテーマもない(という言い方は語弊があるが・・・)作品ではありません。
ドイツ人ということで言うと、ヴィム・ヴェンダースの「ベルリン・天使の詩」も比較対象となると 思うけど、今作はあんなファンタジー作品ではない。
そういった意味では、諸先輩方の作品と比べると、今作はずっと分かりやすいし、言い方は悪いけど、 普通の映画です。
それと“ストレンジャー”と“天使の詩”はフィルムだけど、これはデジタル撮影ですよね・・・? モノクロでも随分雰囲気違います。
あとベルリンというと「クリスチーネ・F」という映画も思い出します。 あれは麻薬と売春のお話だったけど、ドイツ統一前の一番酷いころのベルリンが舞台でした。 当時は“退廃”という言葉がピッタリの街でした。
それから思えば、ベルリンも表面的には綺麗で魅力的な街になっていますね。 行ったことはないので、実際は知りませんが・・・(^_^;)。
まず、この主人公が、今の日本人にとって、とても外国の話だとは思えないくらい、 いるいるこういう奴という青年のお話なんです。 ドイツでも一緒か・・・と思いました(^_^;)。
無気力で、他人と係りを持ちたくないという若人ですね。
ニコは大学を中退するも、その理由は明確でなく、運転免許証は飲酒運転で免停中という状態。
興味深いのが、ドイツのATM。 ニコは退学が父親にばれて、仕送りを打ち切られるのですが、当然銀行口座も解約。 するとATMにカードを挿入した途端、カードが吸われちゃう!? その時、画面に説明とか出ないんだ・・・、ひぇっ!ですね。
もう一つ興味深いのがドイツの免停審査。 面接官の心証しだいって、日本にこんなシステムが無くてよかったです、ホントに(笑)。

あと出てくる人、みんなちょっと変わっている。
アパートの上階の人、寂しい人なんだけど、確かにちょっと鬱陶しい。 でもミートボール、トイレに流しちゃうのはね・・・。
友人のマッツェ、この人とニコの接点がまったく分かりません。 何故この二人が友人?
同級生のユリカも、劇団の演出家もちょっと一癖あります。

ラスト、ニコは、深夜のバーで隣合わせになった老人に絡まれるのですが、ここがこの映画の大事なところ。 とは言っても、つかりこさんのブログを読まなければ、こんな事実知りませんでしたが・・・(^_^;)。
この老人、愚痴を言い終え帰ろうとすると、なんと発作を起こして倒れてしまいます。 仕方なくニコも救急車に同乗することに。夜明け、病院で待っていたニコに、老人が亡くなったと 看護婦が知らせてくれるも、プライバシーの問題で老人の個人情報は教えてもらえません。

朝日の中、ようやくコーヒーにありつけたニコですが、さて彼は変わったのか・・・。
最初はモラトリアム青年の話だったのに、最後に歴史問題を突き付けられ、 これがドイツで賞を独り占めの理由かと納得。
ちょっとオシャレなモノクロ映画と思っていたら、やられちゃいましたね。
ところで、ラストの解釈なんですが、映画におけるそれぞれの場面がなにかしらの 比喩であるなら、この映画は“朝になった”ところで終わっているということで、 監督としてはニコ(ドイツの若者)に対して、前向きな変化を託しているのかなと。
でもちょっと苦そうな未来です。そう甘くは無いよ(笑)。
☆予告↓
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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画
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